自分が体験した相続を皆さんにご紹介します。
「僕自身の相続から皆さんにお伝えできること」
「父親死亡に伴う相続発生」
突然父親が亡くなったのですが、その前月にたまたま父子2人で飲みに行くことができました。元気な父親だったのですが、腹部大動脈破裂のため眠るように倒れ、そのまま意識が戻りませんでした。あの時は本当に落ち込みました。
(平成22年に死亡) 享年70歳
(相続対策、遺言等)なんの前触れもなく突然死を迎える。
保有資産をどのように分けるかなどの計画は全く立っていない。
遺言→無し(話すらしていない)
生前贈与→無し(財産は両親で全部保有)
(財産の認知) 財産について知っているのは母親のみ
(相続の話題) 全く話題に上がったことも無し
以上のように何も対策をしていないという状態でした。
しかし、一般的に相続の話をしていない家庭は結構多いと思います。親が元気なうちに話すると、「財産を狙っているのではないかと思われる。」「縁起の悪い話はしないで欲しい。」などのネガティブな印象を親に与えることになると思う方が多いと思いますので、親から話をしない限りはなかなか「誰が何を相続する」という話は出来ませんよね。
元気に見えてもいつ万が一の事が発生するかもわかりません、親と財産の話をするのは何かと難しいですが、後々のために必要だと感じました。
相続についていつ話し合いを始めたか?
姉2人、私1人の3人兄弟ですが、私も県外で勤務していたこともあり、なかなか話をする機会もないとのことで、お葬式が済んだ後1週間程度経過してから相続についての話が始まりました。
一旦は母親が困らないように
殆どの資産(金融資産と不動産)を母親に相続させるということで母、姉2人、私共に納得していました。その当時は母親も68歳なのでこれから人生まだまだ先も長く、金銭的な不安があるといけないと思い、姉2名と相談して合意したのですがとあることを契機に突然「争続」が発生してしまったのです。
争うつもりはなかったけれど、とあることをきっかけに争続開始です!
「発生時期」
相続が終了し金銭がほぼ母親に渡った後。
「発生のきっかけ」
僕の車を買い替えた時。
「何を言ってきたか」
車を自己資金で購入したにも関わらず、長女から親の相続金を使って購入したのではないかとクレームをつけられる。
その後、裁判も辞さない行動を取り始める。
「姉の心理」
長女は最初から母親に多くを分配するという決め事に不満を持っていた。
何かをきっかけに、自分の権利を主張する機会を窺っていた。
争続になると、お金のためなら何でもアリになります
「姉の行動」
長女はその後なんと私の会社の本部にまで電話をして、「不当に相続を行なっている。」ということを本部のクレーム担当部署に言ってきた。
「弟の職場における立場を崩してでも、自分の目的である「金銭の獲得」がしたい。」
「会社はどう対応したか」
会社としてはあくまでも個人の問題なので、それを請け合うことはありませんでしたが、本当のところはわかりません。ひょっとして会社にマイナスとなる点をつけられたかもしれないです。
お金に執着した姉を持つと自分自身は大変な目に会うということを感じました。
今はこうやってブログで紹介することもできるようになりましたが、当時は本当に恐怖や不安に駆られた日々を過ごしていたのを覚えています。
「金融資産の調査方法」
長女はその後各金融機関や証券会社を回り、父親の金融資産の総額を調べていました。
相続人からの依頼があり、除籍謄本/自分の戸籍謄本/印鑑証明があれば亡くなった時点の残高証明を取得できます。
残高証明は相続人全員の合意は不要ですので、知りたい人物が単独で取得できるのです。それで、更に父親の遺産がどれだけあるか把握。
把握した金融資産の情報を基に、どれだけの金銭を要求しようかと考えたのでしょう。
次女を抱き込んで2名から裁判所に相続のやり直しを求める申し出を行ってきました。
話し合いを行うために調停という場があります。
相続のやり直しとして裁判所に申し出を行った場合、どう言った手続きを行うかと言いますと、まずは話し合いで治めるべく家庭裁判所内で「調停」となります。
「家庭裁判所で家族が集合するという最悪の事態に発展。」
それ以上事態が深刻になると、正式に「裁判」に発展するので、それだけはなんとか避けなければならないと考え、調停で出された案にほぼ素直に従う形で、長女と次女にそれぞれ大きな単位の金銭を母親から渡し、収束方向となる。
「結果と感想」
裁判にまで発展した場合は更に多額の金銭を渡さなくてはならなったので、「調停」で収まったのは良かった。
訴えを起こすなどどいうこと自体が普通の相続ではないので、相続に対する備えや「遺言」などは早めに作成しておいて、それを時折修正していく形をとるのが少しでも理想的な相続を行うための良い方法です。
公正証書遺言には証人も必要になります。公証役場に行けば証人になってくれる方がいますのでハードルは高くありません。
仲が悪くなった相続人の末路
「調停終了その後」
調停が終わって以来、長女はあまり実家に寄りつくことがなくなってしまったので、取るものを取ったらそれで関係は終わりだと思っているようです。
その後の資金援助が受けられることがなくなった。
受けられなくなったもの「教育資金贈与/住宅取得資金贈与/暦年贈与」
生前贈与の仕組みを利用して、将来の節税を図ろう!
僕も結婚し子供が2名生まれました。僕自身は母親とは普通に良好な関係を続けていますので、結果として僕の子供たちには母親から教育資金贈与並びに暦年贈与信託を受けています。そのおかげで僕も子供の教育のみを考えていればよく、それにかかる資金についてはある程度余裕を持って取り組みすることが出来ています。自分自身の家を建築する際も住宅資金贈与を受けていますので、父親が亡くなった際は特に金銭授受を受けていなかったものの、今となってはそれなりに金銭授受を受けています。(あくまでも非課税枠を使っての贈与ですので、正当な権利ではありますが。)
いずれ相続する資金を先に取得する制度として相続時精算課税制度がありますが、繰延的な要素が強いので、自分の子供に対する教育資金を贈与してもらうのがベターだと思います。
「母親の気持ち」
長女の息子である孫に何かをしてあげたいといつも言っていますが、長女の存在が何かと邪魔をして直接してあげることが出来ないようです。長女といつも一緒にいるので考え方や方向性は長女に支配されてしまうことが多いと思います。その面でも、長女は結果として「損」をしていると私は思っています。
こんな贈与の方法もあります。
一方次女の2人の子供には「金」の実物をあげようと思っていたようで、先日次女の長女が結婚した際にプレゼントしてました。
若いうちからそう言った「金」の実物を見る機会はないと思いますし、国の風習によっては嫁ぐ娘に持たせるところもあるようですので良い「プレゼント」だったと思います。私も次女とは会えば普通に話もしますし、2人の甥姪とも良好な関係を保っていると思います。
ちなみに、僕の2人の子供にもあげたいそうで気が早い母親は既に準備しています(笑)今受けている暦年贈与信託終了後に実施予定です。
*教育資金贈与については、特に三井住友信託銀行のスマホによる「領収書提出アプリ」が非常に便利です。以前は紙ベースで教育資金の払い出しをしていたのですが、数年前から「アプリ」機能を備えました。全て写真を撮影したものを貼り付けて、スマホで請求を行うことができます。慣れればすぐに請求できますし、定例先の請求であれば数分で完了となります。
皆さんも相続の際は色々なことがあると思いますが、その場だけの利益を求めるのではなく、後々の人間関係や次の相続までを考えていくのが好ましいと思います。
普段から親から子にはっきりと財産分けについて伝えておくべきことをまとめ、全員を集めて話をしておくことも大事になろうかと思います。
皆さんの相続が無事に終わって、その後も仲良くお付き合いができる関係でいるのが一番ですね。
それでは失礼します。
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